
通知表の評価やコメントって難しい。いい方法はないの?
そんな疑問にお答えします。
- 元小学校教員
- 先生の新しい一歩をサポートしたい
- 子ども大好き2児のパパ
- 現場のリアルを伝えます

詳しくはプロフィールからどうぞ。
学校現場で『評価』は、切っても切り離せない存在です。
一方で、必要不可欠な業務であるにも関わらず

評価って難しくて面倒なんだよね。
と感じている先生が多いのも事実です。
そこで本記事では【評価に対する考え方や具体的なノウハウ】について解説します。
記事を読み終える頃には

評価を意識した方が授業をスムーズに進められる。
という風に、評価に対する考え方が変わります。
- テストの点数だけで評価しがち
- 通知表のコメント欄が書けない
- 評価の根拠となるデータが不足する
10年以上の現場経験を元に、真似しやすく効果的な方法に厳選してまとめます。
「目標と教科の一体化」がポイント
評価を効果的に取り入れるには『目標と評価の一体化』という考え方が重要です。
学習指導要領には『指導と評価の一体化』と記されており、テストで点数をつけるためだけに評価するのではなく、日々の授業(指導)をより良くするためのツールとして評価を活用する仕組みを指します。
簡単にまとめると「子どもの成長や、授業改善のため」に評価を活用する仕組みです。

「テストの点数をつけるため」では無いよ。
そのため評価を意識することで、
- 日々の授業がスムーズになった
- 子ども達の学びが深まった
など、多くのポジティブ効果が期待できます。
専門用語ばかりだと伝えきれない部分も多いはずなので、イメージしやすいように『旅行の計画』を例に解説します。
「旅行の計画」で解説
まず始めに『旅の目的』を決めます。
目的:栃木県の日光東照宮に行って参拝する。
目的が決まっていることで、旅の計画もしやすくなります。
また「目的地に向かって進んでいるか」「時間は間に合いそうか」「移動手段は今のままでいいのか」なども確認できます。
確認:コースや時間、移動手段が適切かチェックする。
トラブル発生など、予定が崩れた場合は計画を修正して対応します。
修正:予定より遅れているなら「特急に乗り換える」「タクシーを利用する」など対応する。
予定通り目的地に到着できればゴールです。

これを『5年生の算数、平行四辺形』の学習に置き換えてみるよ。
まず始めに『学習の目標』を決めます。
目標(目的):平行四辺形の面積を求めることができる。
平行四辺形の面積を求めるには
- 長方形の面積が求められる
- 平行四辺形の特徴を理解している
などの知識や技能が必要です。
授業の中では「長方形の面積を求められるか」「平行四辺形の特徴を理解しているか」を評価します。
評価(確認):目標達成に必要なステップをクリアしているかを確認する。
もしステップをクリアできていないなら「長方形を復習する」「具体物を操作する」などの指導や支援が必要です。
ただし、子どもによって達成度が様々なので対応には工夫が必要です。
指導や支援(修正):理解が不十分な場合は、指導や支援を工夫するなどして対応する。
そして最後に、目標が達成できたかを判定するテストを実施します。
旅行も学習も
- 目標(目的)を決める
- その都度で評価(確認)する
- 必要があれば指導(修正)する
という展開は共通しています。

目標と評価を適当にしているとダメなの?
「目標を無視する」のは「目的地が無い旅」と同じ
特に目標を意識せずに学習を進めているには、目的地を決めずに見切り発車で旅行に行くのと同じです。
気ままな旅も時にはいいですが、学習ではそういう訳にもいきません。
最終的には目的地に到着していなければならず、それを確かめるテストも実施するからです。
旅で目的地を決めるように、学習では目標を決めることが必要です。
「評価をしない」のは「途中で確認しない」と同じ
旅の途中でも、時間や乗り換え方法の確認は必須です。
評価を意識せずに学習を進めているのは、旅の途中で進行状況を確認せずに突き進むのと同じです。
もしかしたら、全く違う路線に乗っているかもしれません。
気が付かないまま突き進んでしまうと、取り返しがつかない状況になってしまうかもしれません。
旅の途中で現在状況を確認するように、学習では評価をすることが必要です。
このように目標と評価が不明確だと、学習の中で生まれる悪影響が大きくなってしまいます。
逆に『目標と評価を意識するだけで、学習が一気にレベルアップする』と言えます。

具体的に、目標と評価ってどう考えたらいいの?
そんな人のために、具体的な考え方を「7ステップ」で解説します。
「目標と評価」を考える「7ステップ」
まず前提として、目標と評価には『単元』と『毎授業』の2つのパターンがあり、それぞれ3観点で考えます。
いきなり全部は難しいと思うので、焦らず少しずつクリアしていけばOKです。

完璧じゃなくても「意識している」だけで効果大だよ。
①単元の目標を決める(単元目標)
まず最初に「単元のゴール」を決めます。
ちなみに学習指導要領では
直線や線分の平行・垂直についての理解を基にして、台形、平行四辺形、ひし形などの基本的な四角形についての理解を深め、それらの図形を構成する要素や位置関係に着目して性質を見いだし、図形についての造詣を深めるとともに、作図や見いだした性質の活用を楽しむ態度を育てる。
とあります。
このままだと分かりにくいので、3つの観点に分解して目標を決めます。
現行のルールだと『知識・理解』『思考・判断・表現』『主体的に学習に取り組む態度』の3観点となります。
- 【知識・理解】 台形、平行四辺形、ひし形の意味や性質(向かい合う辺の平行や長さ、角の大きさなど)について理解している。
- 【思考・判断・表現】 図形を構成する要素や位置関係に着目し、平行四辺形などの性質を見いだして筋道立てて説明したり、対角線の交わり方などの特徴を統合的に捉えたりしている。
- 【主体的に学習に取り組む態度】 平行四辺形の性質や作図の方法を進んで見いだし、身の回りの図形や今後の学習にそれらを活用しようとしている。

面積を求める学習は含まないの?
前章で例にあげた平行四辺形の学習は、該当学年が5年生になります。
本章では同じ平行四辺形でも、該当学年が4年生です。
同じ「平行四辺形」というテーマでも、ゴール(目標)が違うので必ず最初に単元目標を確認することをおすすめします。
②単元目標を意識して授業の目標決める(本時の目標)
単元目標が決まったら「授業の目標」を決めます。
イメージとしては「この授業の中で習得させたい能力」を考えるといいです。
最終的なゴールは単元目標の達成なので、そのために必要な知識や能力を目標にします。
例えば
向かい合う2組の直線がそれぞれ平行である四辺形の特徴に着目し、それが「平行四辺形」という名前であることを知り、その意味を理解することができる。
などです。
1時間の授業内で伝えられる事は、意外に多くありません。詰め込みすぎないように注意しましょう。
③本時の目標の達成ラインを決める(評価基準)
本時の目標が決まったら、その目標が達成できているかどうかを判断するボーダーラインを決めます。

ボーダーラインは段階的でもOKだよ。
上記を例にして考えると「平行四辺形という名前を理解する」をボーダーラインにできます。
さらに「辺の特徴が平行だと理解する」も加われば、さらに達成度がアップします。
それをそのまま評価基準として『A評価』と『B評価』で判別できます。
- 辺の特徴が平行であることや、それが「平行四辺形」という名前であると理解している。
- 図形が「平行四辺形」という名前だと理解している。
このボーダーラインを超えているかどうかで、目標を達成できているかどうかを判断します。

ここらかは、実際の授業についてを解説するよ。
④本時の目標を明示する(めあて)
授業の目標は必ず子どもと共有します。授業の始めに「めあて」や「学習課題」といった形で明示しましょう。
ただし、②で例示した
『向かい合う2組の直線がそれぞれ平行である四辺形の特徴に着目し、それが「平行四辺形」という名前であることを知り、その意味を理解することができる。』
という形で子ども達に示すのはNGです!

意味が分かりません!
と言われてしまうので、子どもでも理解しやすい短く簡潔な文を意識しましょう。
例えば【辺に注目して気付いたことをまとめよう】などです。
これなら子ども達も

辺に注目したらいいんだな!
というように、授業でやるべきことが明確になります。
⑤評価基準を元に声掛けする(指導・支援)
授業中は評価基準である「ボーダーラインを超える」を意識して声をかけます。

具体的に解説するよ。

点が4つあるよ。
という気づきに対しては、目標の『辺に注目』では無いので修正が必要です。加えて「平行四辺形」という名前まで辿り着けない可能性もあります。
一方で

辺が4つあるよ。
という気づきに対しては、目標の『辺に注目』が達成できています。
さらに、平行四辺形の「四辺」の部分の意味合いや関係性まで、思考が広がる可能性もあります。
この場合、最終的に『平行四辺形という名前を理解する』というゴールを知っていることがポイントです。
ゴールを知らなければ、修正したり取り上げて深堀りしたりする展開は考えにくいでしょう。
いい授業の条件として言われる『子ども意見から授業を展開する』の形にも近づけると言えます。
⑥子どもの変容を確認する(評価)
授業を通して、子どもが目標に向けて変化(成長)した部分を評価します。
評価の視点はいくつかありますが
- ノート
- 発言
- ミニテスト
などを通して評価する場合が多いです。
目標(めあて)に向けて、考えたりチャレンジしたりした姿を見取ります。
例えばノートなら「どのように考えてアプローチしたか」「正確に問題を解けているか」などをチェックできます。

「スタンプを押して返却するだけ」はもったいないよ。
そして、気になる子どもに関してはメモなど履歴を残しておきましょう。
- 問題へのアプローチ方法が面白い
- 問題を正確に解いている
- 丁寧にノートをまとめている
- 友だちの意見から考えが変化していった
このコメントは、学期末の所見欄でも活用できます。
私の場合だと、授業中の発言や取り組みについてはメモや付箋。ノートやワークシートは直接PCへ書き込みました。毎時間だと大変なので、特に印象的な場合だけ記録しました。年度末が近づくと「今日はこの子に注目!」という風に、ピンポイントで記録する場合もありました。
③で示したA評価やB評価とセットにして、子どもの様子をコメントとして記録することで評価がスムーズになります。
⑦単元を通した評価を行う(テスト)
単元の最後には、まとめとしてテストを実施する場合がほとんどです。
ペーパーテストだと、結果が数値として客観視できるという点でメリットです。
そのため3観点の【知識・理解】の評価と相性がいいです。
一方で【思考・判断・表現】や【主体的に学習に取り組む態度】はテストだけの評価だと難しいです。

評価のネタはテストだけで大丈夫!
という考えは辞めたほうがいいでしょう。
まとめると
目標と評価を意識するための「7ステップ」を解説しました。
- 単元目標を決める
- 本時の目標を決める
- 評価基準を決める
- 本時のめあてを明示する【授業中】
- 指導・支援する【授業中】
- 変容を見取る
- まとめテストを実施する
授業を進める前に、目標から評価(ゴール)までの道筋をイメージできると、学習に軸ができて展開もスムーズになります。
実践する時の注意点
本章では『目標と評価の一体化を実践する時の注意点』について解説します。
マイナス面も理解することで、目標と評価の一体化をより効果的に活用できるよになります。

「目標」や「評価」に関する失敗例や注意点をまとめるよ。
ペーパーテストの点数だけで評価をつける
前章でも触れましたが、ペーパーテストだけで評価をつけるのは危険です。
特性上【知識・技能】の項目はテストで測りやすいですが、【思考・判断・表現】や【主体的に学習に取り組む態度】をテストの点数だけで評価するのは限界があります。
授業での発言やノートの記述、取り組みのプロセスに目を向けないと正しい評価はできません。
【思考・判断・表現】や【主体的に学習に取り組む態度】の評価が苦手という人は、目標と評価の一体化を試してみてください。
毎授業のメモが増えすぎる
毎授業のコメントやメモは大切ですが、あまりに多すぎると逆に負担となってしまいます。
全員分の発言やノートを細かくチェックする必要はありません。
- 時間を区切る
- 人物を限定する
- ターゲットを絞り込む
などしなければ、メモが膨大になり事務作業に追われる危険もあります。
真面目な先生ほど完璧を目指しがちです。メモを取ること自体が目的にならないように注意してください。
「教えたいこと」をゴールにしてしまう
勘違いしやすいのが、先生の「教えたいこと」が授業のゴールになってしまうパターンです。
「この公式を覚えさせる」「このワークシートを終わらせる」など、教師側の都合でゴールが決まってくると危険です。
子どもの気づきや変容をベースに授業を組み立てることで、授業がさらに魅力的になります。
教師側の都合でゴールを設定してしまうと、形式的で味気ない授業になりやすいので注意が必要です。

どれも現場では「あるある」の事例ばかりだよ。
若手もベテランも関係なく、どんな人にも失敗の可能性はあります。
大切なのは、失敗や注意点を「知っている・意識している・気をつけている」という事です。

注意点だけじゃなくて、上手くいくコツも知りたい!
そんな人に向けて、実践の具体的なテクニックを紹介します。
すぐ真似できる『実践テクニック』
日々の授業の負担を増やさずに、評価をスムーズに回すための具体的な時短・効率化テクニックを3つ紹介します。

明日から真似できるテクニックを厳選したよ。
座席表メモ
手元にクラスの座席表を用意します。
授業中の机間指導で『特に目立った子』がいたら書き込むだけです。
この時に、スタンプや記号を活用すると便利です。
- A:すばらしい
- C:要支援
- ㋩:発言
- ㋛:思考
- ㋝:積極性
これだけで、通知表の所見や評価の強力な根拠データが自然にたまっていきます。
座席表の活用は、多くの先生が実践しているテクニックです。
先生によって使い方や活用方法も違うので、周りの先生と情報交換して自分が使いやすい方法を探してみてください。
- 紙:枠だけ作ればいいので手間が少ない。1時間ごとに1枚など、メモ代わりとしても使えるのでデータを蓄積できる。
- パウチ:ホワイトボード用マーカーを使えば、何度も繰り返し使うことができる。省スペースで保管できる。
- 電子:タブレットやiPadを利用することで、編集やPCへの転送が容易にできる。写真や動画も残せる。
評価のフォーマット化
評価をするための仕組みを作ります。
すぐに実践するなら『振り返り』を活用するのがおすすめです。
授業の最後に、今日のまとめとして自己評価(一言感想)を書く時間を作ります。
評価は簡単に「A.B.C」や「◎.◯.△」など、1分以内を目安に計画するといいでしょう。
子ども達の方から

今日も最後は振り返りだよねー?
くらい周知されるようになると、授業の流れもスムーズです。
評価を導く問い
授業の中で『中心となる問い』を決めておくと、その反応がそのまま評価となる場合が多いです。
単純に「わかりましたか?」という問いではなく、思考を導き出す「××と□□で共通点はある?」など一工夫します。
ポイントは『子どもが自分の考えを書き残しやすい質問』を意識することです。
- 2つの共通点は?
- この数字が出てきた理由は?
- この答えが違うと言える理由は?
理由や根拠に注目することで、子どもが自分の言葉でノートに記録できます。
評価では
友だちと協力して課題に取り組み、「××と□□に〇〇という共通点がある」と気がつきました。
という風に、コメントとしても家庭に伝えることができます。

子どもの言葉をそのまま評価に生かせる点でもおすすめだよ。
どれも「すぐ真似できる」という点を意識しました。

これならできるかも!
というものからチャレンジしてみてください。
まとめ
本記事では、授業をスムーズに進める技として【目標と評価の一体化】について解説しました。
文字面は難しそうですが、実際はとてもシンプルで
「最初にゴール(目的地)を決め、子どもたちの今の状態(現在地)を確認しながら、日々の授業に生かす」
という本質的な考え方です。
「評価」について、これまで

ジャッジしなければならない面倒なもの
という考え方の人も、これからは

授業を面白くするツールの1つ!
という「ポジティブなもの」として認識してもらえると嬉しいです。
教師自身がゴールを見通して授業に臨むことで、子どもたちの目の輝きが変わり、教室の雰囲気がガラリと変わる様子を実感できるはずです。
まずは明日の1時間、学習の目標(ゴール)をイメージして授業を展開してみませんか?
その新しい一歩が、あなたの明日を変える大きな一歩になるはずです。

一緒に頑張ろう!応援しているよ。
